夜 明 け
 
 
 
 
 中学2年生の夏休みかな・・・
 
 家にいて、ぼさっとテレビを見てた。
 NHKのお昼の番組、
 小さな鉄道駅から生中継の放送があった。
 
 九州の鉄道(国鉄)の分岐駅で、
 山と田圃のみどりが豊かで、ほんとに、のどかですね〜
 ・・・的な内容だった(←という記憶)。
 
 そのとき、中学ボンズっだったおらは、
 その番組をみて、激しくそこに行ってみたい!! と思ったのです。
 遠い遠い見知らぬ場所に行ってみたい!!
 
 
 で、3年たち、5年たち・・・時間が経過して、
 あれ・・・あそこ、どこだったっけ・・・みたいな感じになった。
 はっきりとした地名を忘れてしまったのね・・
 あんなに、こぶしを握りしめて、情熱をもって行きたいと思った場所(駅)の名前をわすれたわけです。
 
 で、10年ほど時間が経過して、
 あるとき、明治神宮に行ったら、境内のある場所の風景が・・・
 あの日あの時、感動して見ていた九州のどこかの風景にそっくりで、
 ああああああ・・・・こういうの・・・!!
 と、急激に記憶がよみがえってきて、
 ふたたび、九州の、その小さな駅に行ってみたくなった・・・
 
 どこだったかな・・・と記憶をたどって、出した結論は、
 大分県日田市夜明駅。
 
 
 でね、
 
 
 行きました。
 飛行機に乗り、列車を乗り継いで・・・
 そして、あこがれの夜明駅で列車を降り、人気のないホームにたたずみ、
 ぐるっと周囲をみわたしまして、はい、満足です。
 2分で、こころから満足しました。
 
 
 瞑想系のレクチャー的にいいますとですね、
 人間の欲望というのは、満足すれば、それで気がすむのです。
 でも、満足させないと、
 死ぬまで願望や願いを、いつまでも引きずることがある。
 さっさと済ますことの出来る願望/欲望は、
 ぱぱぱっと、すみやかに済ましたほうが瞑想にとっても有利。
 
 
 願望とか欲望とかいう表現すると、
 ばかなひとは、むちゃくちゃなイメージで
 「・・・・じゃじゃああああ、おれは国王になりたいけど、そういうの、どーすればいいんスかね?」とか始めるけど、
 
 そもそも、そんな願望や欲望は、
 20歳をすぎた人間の考えることじゃないし、
 まあ、「瞑想系の疑問」のランキングにも入りません。
 たんなるアホ・・・ですもん。
 
 
 ま、それはいいとして。
 大分県の夜明駅って、調べてみれば、
 名前のイメージが良いことから、北海道の幸福駅と並んで人気・・とか、
 鉄道切符を求める人がやってくるとか・・・あったみたい。
 
 でも、おらが、最も感動したのは、
 「男はつらいよ」シリーズの第28作目「寅次郎紙風船」で、
 寅さん(渥美清さん)が夜明駅に降り立つシーンがあったことデス。
 映画のシーンの、情景と旅情の描写、最高でした・・・
 
 
 この「寅次郎紙風船」は傑作で、お酒をのみながらでしたら、朝までしゃべってられる作品ですけど・・・いちいち書いてられないわ・・・文章を読む方もシンドイしね・・・・
 
 あ、そうそう・・
 夜明駅に似てる風景・・だなと思った明治神宮の場所はですね、
 「花菖蒲」というところ。
 検索すれば写真も出てくると思います。
 
 ねえ・・・あくまで、中学生のボンズがみた九州夜明駅と、少し大人になってからみた明治新宮の花菖蒲が、「似てる!」と個人的に思っただけで、何の関連も保証もありませんよ。人間のイメージなんて、勝手にコロコロ変わるから、真に受けないことが大切です!
 
 
 「夜明駅」をみて満足したので、
 近くにある温泉町「天瀬(あまがせ)」「湯布院(ゆふいん)」も喜んで歩いてみました。どっちもレベルの高い温泉街で、らく〜んさんと一緒に行ったことはないから、いつか行ければいいな・・と思ってます。
 
 
 旅行したときの満足感って、
 そこが有名観光地とか無名な町とか関係なく、
 その日そのときの一期一会(いちごいちえ)的な出会いデス。
 人との出会いもあるし、町や、川や、天気や、気温との出会いもある。
 だから、同じ場所に行っても印象は違うし、飽きないです。
 舞台芸術、コンサートと同じかな・・・
 二度と同じものはないから価値がある・・・
 
 毎日やる瞑想だって同じで、二度と同じ経験はないですよ。
 安定して、意識的に同じ経験が出来るようになれば、
 それはかなり高位レベル・・なのです。
 
 
 
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