間 口 一 間
 
 
 
 
 子供のころ、おとなの会話を聞いてると、
 「いやいや、たかが間口一間の小さい店ですけど・・・・」
 
 というようなのがあったです。
 子供だったけど、
 会話の内容から「間口が一間(いっけん)」っちゅうのは、
 たぶん小さいんだろうな・・・と想像してた。
 
 メートル法とか貫尺法とか、
 子供にとってはどーでもいい話で、
 ごちゃごちゃに使って、大人になっても、
 それが当たり前みたいに思ってる。
 
 靴の大きさも、
 「○○センチ」と云えば、
 「じゃ、○文半だ・・・」とか言い直されたし、
 
 そういや、ジャイアント馬場さんの必殺技は「16文キック」で、
 「40センチキック」なんて云わなかったよな・・・
 なんか、新聞記者がアメリカの靴のサイズの16号と、16文を間違えたという説があるけど、足の大きさが40cmっちゅうのは、さすがにデカ過ぎるかな・・と思うわ・・・
 
 単位の表記って、世界各国でメートル法で統一されてるはずなんだけど、 実際には、アメリカじゃ、野球の球速表示もマイルだし、
 自動車のスピードメーターもマイル表示だし、
 くわしいことは、はっきり云って解んないけんども、
 ゴルフだと、距離はヤード使うし、
 重さの単位で、プロレスもスーパーマーケットも普通にポンド使うし、
 ガロンっちゅうのもあるし、
 
 アメリカ旅行中は、ハムやポテトサラダの重さ(料金)で、
 ポンド → グラム の換算に苦労するけど、
 いまはもう、慣れた。
 
 スタイルの良い48kgの女性が100パウンド〜!! なんです。
 つまり、1ポンド=480gで、
 サラダやハムを買うときは、電卓なしに計算できるようになった。
 
 フランスはメートル法で、重さはキログラムで表示されてるから、
 フランスだと市場で買い物するときは、とってもラク。
 
 インドはね、
 調理したポテトサラダとかみかけない・・・。
 野菜や果物をそのまま売ってて、個数で買うから・・・
 でもあれだ、スパイス屋さんでは、重さで買うけど、
 イギリスと同じ、ポンドヤード法です。
 
 
 あのね、
 
 さっき、1ポンド=480gって云ったけど、
 
 旅行してると、
 八百屋さんとか、サラダコーナーの単位表記は、
 
  「lb」
 
 ってなってます。「lb 2$」みたいな・・・
 最初のころ、「lb」の意味がらく〜んさんもわからなくて、
 なんじゃろな、どういう意味かいな・・と二人で考えたけど、
 適当に買い物してると、だんだん実感で意味がわかってくる。
 
 
 これ(「lb」)、きっと1ポンドの意味だね〜・・・なんて・・・
 少しずつ、推理しながら意味がわかるのも、そりゃ楽しいです。
 謎が解けたぞ! みたいな喜びがあります。
 
 
 仕事の打ち合わせでも、
 若い人は、寸法を「そこは○○○ミリです」と云うけど、
 年季の入った頭領は、ためらわず貫尺法で云うからさあ・・。
 とっさにメートル法でイメージするのは難しいのヨ。
 こういうの、なんか、不思議。
 
 
 日本もそうだし、外国も同じかもしれんけど、
 どこの国でも、商売するときに、
 間口に広さに応じて税金が変わる・・っちゅうのはよくある話で、
 
 京都の商業地は、間口は狭いけど奥行きがすごいとか、
 東海道の宿場町も、間口を狭くして奥行きを大きくとるとか、
 古い建物は、街道に対して縦長の建物が多いとか。
 
 で・・・自分が大人になって驚いたことに、
 「たかが間口一間の小さな店・・・」から、
 世界的に有名になったお店って、けっこうあるんです・・・。
 
 
 冬の寒いあさ、
 らく〜んさんと、ロンドンの中心街をあるいてたら、
 狭い入り口のお店があって、のぞきこむと、奥に向かってだあ〜っと紅茶の商品が並んでるところがあった。それがトワイニングス紅茶の本店。あれ・・・これが本店なのか・・・と拍子抜けするような狭い間口・・・
 
 別のとき、ぽかぽか陽気の晴れた日に、
 らく〜んさんと、ミラノの街をあるいてたら、
 狭い入り口のお店があって、のぞきこむと、奥に向かって空間が広がって、低い位置にぽつりぽつりと作られた棚があって、その棚の上に、つつましやかに衣類が並べてあった。かすかに、日本的な香のにおいがして、なんじゃろな・・・と思ったら、アルマーニの本店でした。
 
 後日知ったことですけど、アルマーニ本店は日本人建築家の安藤先生がデザイン設計なさったと聞きました。
 
 
 以前、京都の和菓子屋さんの話をしたんだけんど、
 日本に限らず外国でも、
 本当に良いお店って、こういう間口が狭いタイプが多いですね。
 どば〜んとでっかい店! じゃなくって、こじんまり・・的な。
 それが世界に羽ばたいてゆく喜び・・・みたいな。
 
 パリのサントノーレ通りにある老舗も、
 最初の開業当初は小さなスタートで、
 どんどん世界に向かって羽ばたいていった感じ。
 
 だから、
 「間口一間の小さな店で・・・」っていうのも、
 商売のスタートとしては、それでいい・・と思うのです。
 
 
 瞑想だって、最初からうまくいくわけじゃないもの。
 わけわかんないことだらけで、
 がんばって理解しながら、少しずつ前進する・・・
 あるとき爆発的に前進する・・・
 そしてまた、イマイチの期間に入って思い悩む。
 それの繰り返し。
 
 なんでもかんでも、最初からどか〜んとうまくいくわけじゃないです。
 ときには、思い悩んで、じたばたしてみよう。
 
 
 
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