お 弁 当
 
 
 
 高校時代の昼食は、自由だったから、
 学校の外に出て食べてもよかったし、
 持参の弁当でもよかった。
 食堂もあったから、その日のご母堂様の都合で、
 弁当がなければ、
 外に出たり、食堂で済ませたり・・・
 
 
 おらは、弁当に関しては何でも良いと思ってるし、
 あんまりリクエストがないので、
 
 そういうのって、「困る」と何度も云われた。
 何か、「これ」と云ってくれれば簡単なのに、
 「なんでもいいよ」と云われると、悩むらしい。
 
 夫婦でも同じで、
 男は、負担を軽くしようと思って「何でもいいヨ」と云うけど、
 奥さん的には、それ、いちばん困る。
 考えて、いざ出したときに旦那が不満顔だったら、これは悲惨。
 
 男性的な思考回路では、
 「何でもいい」のだから、いちばん簡単じゃないか・・と思うけど、
 女子的な思考回路では、
 「何でもいい」→どうしよう→パニック!
 これが、ま、普通です。
 
 
 だから、男性は、
 「これで頼みます!」と、はっきり云わないとアカン!
 で、作るモノがはっきりしてれば、
 作り方をネットで調べるなり、
 なんとか、やりくりできるけど、
 「なんでもいいヨ」と云われたら、
 もやややや〜っとなって、
 
 そうなると、女子的思考回路はオーバーヒートするね。
 
 
 はっきりしてくれないと困るのよ!
 これは、恋愛でも同じだね。
 
 
 最近は、お弁当ってあんまり食べないけど、
 会議とか、
 食事会とか
 打ち合わせとかさ、
 「経費」で弁当が食えるとるとなると、
 妙にはりきって、あっちこっちの弁当を検索して、
 「・・・どうします?」なんてヤツがいる。
 
 注文できる値段が決まってんだから、
 悩むこともないのに、
 弁当容器の豪華さとか、
 見た目に派手なヤツとか、
 そういうのにコダワるヤツもいるもんなあ・・・。
 
 
 おらは、ほんと、普通の「ノリ弁」で十分。
 
 それが一番うまい・・・とさえ、思ってる。
 
 
 駅弁でもね、
 静岡/小田原の鯛飯とか、
 明石の「ひっぱりだこ」とか、
 北海道の森のイカメシとか、
 シンプルなのがいい。
 もちろん、名物がなければ幕の内もOKです。
 
 
 お弁当といえば、
 京都の「菱岩」さん。
 
 みなさん知ってっか?
 
 
 ここは、
 京都祇園の料理をまかなう仕出料理店で、
 
 伝統的な、
 和食料理の最高峰の職人さんを輩出する名店です。
 ここの弁当は、めちゃくちゃうまい。
 値段も、お手頃から高いのまであるけど、
 どれも、食べてみれば、
 ただただ、深くうなずいて、こうべを垂れるしかない。
 
 ここは、何度か利用したけど、
 和食のすごみを実感できる、芸術的なお弁当です。
 
 京都のね、二条橋の近くで、
 テレビドラマによく登場する有名な「巽橋」から徒歩数分。
 このお店で修行した若い見習いの料理人が、
 日本の和食の主力になってゆくらしいです。
 
 こういう見習い制度みたいな仕組みは、
 ほんとうに大切だと思う。
 
 雇用契約がどうの・・・ということも、
 そりゃあ時代の流れで大切だけんど、
 それより、
 若いうちは、
 なにを、どう学べるのか、
 将来、どうなれるのか・・・
 
 そっちの方が100倍、大切なんだよな・・・
 と、思うん。
 予約したお弁当を受け取りに行くと、
 若い見習さんが、
 いつも礼儀正しく、お弁当を渡してくれる。
 ときどき、店の前で、仕事を終えて仲間同士で笑ったりしてる。
 30年前のテレビドラマの主人公たち・・
 みたいな、なんだか懐かしい感じになる。
 
 はりきって仕事ができる若者は、いいな・・と思うのです。
 夢もある、希望もある、
 そして、一流の職人になるチャンスがある。
 菱岩さんに、お弁当を取りに行くと、
 いつも、そんなことを思うのでした。
 
 
 
 
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