泪 橋
 
 
 
 欧米系の格安旅行者(バックパッカー)って、
 世界中どこに行ってもいるんですけど、
 
 泊まるところは、寝れればよい・・的な、安宿で・・
 
 もちろん安宿には安宿なりの問題もあって、
 盗難、
 薬物の押し売り、
 女性を狙った犯罪、
 もんのすごく危険なんだけど、
 それでも、被害に遭う確率は低いので、
 どうしても、安い宿に泊まりたがる人は多い。
 
 
 日本にやってくる外国人の場合、
 たとえ宿泊料金が安くても、安全性は非常に高い・・・
 ということは知れ渡ってるので、
 かれらは、好んで和風の安い旅館に泊まりたがる。
 
 東京だと山谷。
 大阪だと萩ノ茶屋。
 
 この二つのエリアは、
 ちょっと前までは、ドヤ街と呼ばれて、
 日雇いのひとが集まる場所だったけど、
 最近は、なんか事情が違うみたいで・・・・
 
 
 おら的には、どっちのエリアも現場を知ってるので、
 時代は変わったなあ・・・と思ってます。
 台東区の山谷は、おらが行った頃は、
 朝からお酒を飲んでる人がいっぱいいて、
 勝手にオシッコするしさ、
 公共施設も独特の異臭が漂ってて、
 
 「ゆっくり歩いて、トラブル起こさないように」と注意された。
 
 漫画「明日のジョー」は、この近くにあった泪橋が舞台だそうで・・
 
 
 大阪の萩ノ茶屋は、
 漫画「じゃりン子チエ」の影響で出かけたんだけど、
 山谷に較べると危険性は少ないように感じたし、
 まあ、
 朝から自販機のビール片手に語り合うひとがいるのは当然だけど、
 でも、宿泊施設も、値段の割に充実してるな・・と思っただよ。
 
 
 こういう場所をバカにしたり白眼視するひともいるけど、
 
 もし真剣に自分の霊性を高めようとするなら、
 住んでいる場所、環境、経済事情は違っても、
 人間としての魂の価値に違いは何もない・・・
 ・・・という、心の底からの確信をもって欲しいのね。
 
 いあや、まあ・・・
 こんなふうに書くと、
 「能力」「努力」「やる気」の違いはあるじゃないか!
 と思う人もいるだろうけど、
 そして、それはそうかもしれないけど、
 
 人間としての社会的な価値・・・
 なんてことはさ、
 目に見えないお方は、
 あんまりみてないのだす・・・
 そのことに気づいて欲しいのです。
 かれは、魂の純粋さ(または曇り具合)しかみてない。
 
 
 偉いな・・と思うのは、
 イギリスの故ダイアナ妃が、
 王位継承者のウィリアム王子を連れてホームレスの支援をしたり、
 ウィリアム王子が、厳冬のロンドンでホームレス体験をしたり、
 
 厳しさや苦労を、知ろう!
 と、努力なさった物語です。
 
 もちろん、ひねくれモンは。
 そんなん・・・
 一日体験なら誰でもできるじゃね〜の、
 「上から目線」じゃね?
 とか、思うかもしれないけど、
 
 でも、少しでも知ろうと、頑張ってみる、
 その姿勢がね、貴重だし立派だと思うん・・・
 
 山谷に泊まってる欧米人のなかには、
 実家は「お城」みたいなひとだって、けっこういるのよ。
 
 かれらだって、少しでも日本の文化(旅館)を知りたくて、
 でも、本格的な高級旅館は高いので、
 和室のある、格安宿に泊まって、ものすごく喜んでる。
 自分とは違うモノ、
 自分とは違う価値、
 それを知ろうとする姿勢、
 
 それって、
 簡単そうだけど、
 勇気もいるし、
 けっこう、たいへんなのです。
 
 瞑想も、
 結局は、開拓精神で、
 チャレンジする気概、
 うまくいかないときの、
 明日はもっと気合い入れるぞ! と思う姿勢、
 
 そういう、
 切り開いてゆく日々の貴重さを味わうところに価値があって、
 
 その味わいの価値が判るひとだけが、
 少しずつ前進してゆくのです。    ばい。
 
 
 
 
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