甘い辛い
 
 
 
 子供の時から甘いお菓子が好きで、
 塩辛も好きで、
 甘いのも塩辛いのも、どっちも好きだった。
 
 
 ご飯と塩辛があれば文句を云わない子供だったらしく、
 外で食事をするときは、ざるそばしか注文しなかった(らしい)。
 「飲んべえになる」と親戚は云ったらしいけど、その通りになった。
 
 
 云っとくけど、お酒を飲むのと瞑想するのは関係ないからね。
 
 よく、「あのひとはお酒もタバコもやらない真面目なひとで・・」
 なんて慣用句があるけど、
 お酒やタバコと、真面目、不真面目は、一切関係なし!。
 中学生がお酒呑んだりタバコすったりは、ダメだけどね。
   ← (こういうの中学時代にけっこういたのだす・・・)
 
 
 学生のころ、
 よく、友人が「甘いもの」をくれた。
 地方から上京して生活してる友人のなかに、
 あんこが苦手なのに、
 実家から、定期的にどっさり甘味のお菓子を送ってくるとこがあって、
 そいつが、
 最中だの、羊羹だの、あれこれくれるので、とっても嬉しかった。
 
 
 一人暮らしをしていたとき、杉並方南町に、小さな洋菓子店があって、
 仕送りを受けたときや、自分でお金を稼ぐようになってからも、
 そこのお店で、ケーキを買うのが楽しみだったなあ。
 こじんまりした店だったけど、
 方南町を離れて、インターネットが普及してから、
 思い出して調べてみると、
 けっこう、ファンが多かったらしく、
 店主も、かなり本格的なパティシエだった・・・と知りました。
 
 
 それから十年ほどの年月を経て、
 羊羹(ヨーカン)も最中(モナカ)も、自分で買えるようになったとき、
 ある日、デパートで開催されていた京都物産展で、
 「さくら餅」を買って食べたん・・・。
 高かったけど、京都の和菓子・・・なんで、どんなんかしら・・?
 みたいな、興味本位で。
 
 衝撃を受けたのね、それ。
 
 それで、翌日、また買いに行って食べたら、やっぱり美味かった。
 
 翌年も、そのお店が京都展でやってきたので、買って食べたら、
 やっぱり、ものすごく美味かった。
 で・・・・、思い切って店主に話しかけてみたのです。
 すごいですね・・・って。
 
 
 あれやこれや、京都弁でしゃべる店主はとっても面白い方で、
 「ウチなんか、ほんの100年の新参で・・・」
 みたいに笑う、特有の語りをする方でした。
 
 当時のおらは京都勉強中だったので、
 お酒を飲む約束をして、後日、いろいろと京都のお話を伺いました。
 その後、らく〜んさんと一緒に京都のお店に伺ったり、
 ご家族とも顔見知りになって、
 京都のこと、和菓子のことや京都の習慣や、
 
 本やガイドブックでは判らない、
 たくさんのことを教えていただいたんです。
 
 
 先日、休日の朝に仕事場にやってくると、
 あれれ・・・
 その方の名刺がドアにはさまってて、
 どうしたんだろう・・・・
 
 で、後日事情を聞くと、
 旅行中に立ち寄ったけど・・・いらっしゃらなくって・・
 なんてことでした。
 
 京都以外の人間には、京都って、わかり難いじゃないですか・・・
 
 でも、その方を通して、
 ややこしい京都の習俗というか、
 例えば、和菓子職人の世界や、難しそうな料理人の世界を、
 わかりやすく、面白く教えていただけたので、
 とっても感謝してます。
 
 テレビや雑誌に出るのが好きなのか(?)、
 本人が厭(イヤ)でも引っ張り出されるのか、
 ちょこちょこ全国メディアにも露出してます。
 
 祇園のお茶やさんの、
 京都らしい、
 あれこれの細かい「指導的な注意(=いやみ)」も、
 ただただ感心して、笑うしかありません。
 
 にこやかに、かるい口調で強烈なことを云うから、
 グ〜のねも出ない・・・・。
 直截(ちょくせつ)的な言葉じゃなく、
 バカでもハっとするような、ホメ言葉で注意したり。
 
 
 こういう「祇園のおかあさん」にかかれば、
 不良もやんちゃもヤンキーも財界人も文化人も、
 まるめてポンの子供扱いだから、かなわない。
 京都は面白いな〜・・・と思うのは、
 目に見えないところが東京とぜんぜん違うところ。
 
 
 京都の町中の住民は、
 どこにヘソクリを隠してるかまで隣近所は知っている・・・
 みたいな、村社会みたいなとこがあるらしいから、
 なんかムニュムニュ・・・っとしたことがあって、
 とっても奇妙ながら、
 とってもおもろいなあ・・・と、思ってます。
 
 世界遺産のお寺や神社を訪れただけじゃわからない、
 京都の奥深さ、
 つまりは、日本の奥深さ、
 そういうの、すごく大切だと思ってます。  さいなら。
 
 
 
 
 
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