アルプスとヒマラヤ2
 
 
 
 アルプスとヒマラヤは、
 実際に見たことがない人にとっては同じようなイメージだと思うけど、
 
 現場に行ってみると、
 これ、ぜんぜん違うのね。
 
 アルプスの方は、
 スイスとかフランスに行けば、鉄道もあるし、快適にアプローチできます。
 でも、ヒマラヤは、ネパール、インド、パキスタンに行っても、
 とっても遠くて、山の麓までもアプローチしにくい。
 近づきがたいような、遠い存在です。
 
 
 両方とも、見たいと思う山は、ばらっばらに点在してるから、
 短期間で、あっちもこっちも見るのはとっても厳しい。
 
 日本の山だって、富士山、鳥海山、大山、立山、石鎚山とか、
 できれば一週間で見たい・・・・とすれば、
 不可能じゃないけど、旅程は、バタバタしちゃう。
 
 
 アルプスで有名な山は、アイガー、モンブラン、マッターホルンとか。
 ヒマラヤで有名な山は、エベレストだけど、
 エベレストなんて、普通の観光客には、遠い遠い存在。
 観光の飛行機に乗って、びや〜っと、見るしかない。
 自分の足で近づくには、往復2週間以上かけて歩くしかない。
 
 
 いろいろ調べたけど、
 無理して、例えば旅程10日で往復しようとすると、
 途中で死ぬ人が年間数名いるらしい。
 とくに日本人が多いとか・・・
 
 現地のガイドが、
 そりゃ無理です・・・と説明しても、
 日本人って、
 時間がないから、なんとか短い日程で往復したい・・・
 とか云い始めるらしい。
 ほんと、死ぬよ。
 
 
 日本人、せっかちなのかなあ?
 仕事をもってる人は、長期の休暇がとりにくい事情もあるけど、
 
 ぴゃっぴゃ〜っと、
 迅速に、できるだけ速く、
 結論なり結果なりを求めすぎるところがあるようで、
 だから、山って、基本、危ないところなの忘れちゃう人がいる。
 
 
 アルプスの登山鉄道もロープウェイも、
 一気に頂上まで駆け上る・・・なんて方式はなくって、
 途中で、必ず休憩タイム・・・・みたいな、
 ここで、ぶらぶらしてください・・・的な、
 ぼや〜っとさせられる待機の時間があります。
 
 これが「高度順応のための休憩時間」です。
 観光客の命を守る、大切な休憩タイムなんです。
 
 ヒマラヤには山の上まで登る鉄道もロープウェイもないから、
 行きたいひとは自力で歩いてくしかないけど、
 ゆっくりと歩く自然の行程が、そのまま命を守るシステムになってます。
 
 
 山のように、厳しい条件に身を置くときは、
 効率だとか、時間短縮だとかは、ひとまず置いといて、
 最重要事項は、どうすれば、安全に、戻れるか、なんですね。
 
 
 瞑想も同じでさ。
 効率とか時間短縮を優先すると、死ぬよ。
 実際に死ななくても、どっか、おかしくなる。
 
 こういうことは、
 古い時代から、日本の僧侶の方が経験されてきたことだし、
 インドでも、危険を避ける大切さが知られているので、
 とにかく、危険だ・・・と思ったら引き返す勇気をもって欲しいです。
 ここらのフィーリングは、エベレスト登山と同じなんです。
 
 たとえ頂上が目に前に見えていても、
 危ないな・・・と思ったら勇気をもって引き返す。
 それが、高い山と瞑想の共通点。    つづく。
 
 
 
 
すわみ亭の目次へ戻る
フロントページへ戻る