地 獄 八 景
 
 
 
 子供のころから落語が好きで、
 
 中学高校のころは文庫本の「落語全集」を読んで、
 
 ま、自分なりに楽しんでましたヨ。
 
 
 んで、自分が演じたいとは思わなかったので「落研」には入らなかった。
 聴いて楽しむのが好きなんだノゥ・・・。
 
 
 
 ほいで、好きな落語家の「推し遍歴」は、ってーと、
 柳家小さん → 桂枝雀 → 古今亭志ん生 → 桂南光 っちゅうことになってます。
 
 
 でも、いわゆるDD気質(だれでも大好き)なもんで、
 購入したCDの枚数の多い少ないはあるけんども、
 普通に、落語を楽しんでいます。
 
 
 実はね、子供のころに、柳家小さん師匠が好きだったのは、
 理由があるんだす。
 
 それはです・・・
 
 
 「・・そもそも、こんな、落語なんていうもんは、世の中になくったっていいもんで、それを商売にしてるってんですから、不思議なモンですな・・・」
 
 というようなことを、小さん師匠が高座で語ってたんです。
 自分は子供だったけど、あっそうか、そうなんだなあ〜と思ったン。
 
 そんときは、ほんとうに子供だったけど、でも、ほんとに、
 世の中の仕事って、たいていのものは、「それなくても特に誰も困らない」ようなもんだヨな〜・・・と思ったのだす。いや、農業とか漁業とか畜産とか、いわゆる第一次産業はないと困るけど・・・。
 
 
 でも、そんなこと云ってると活気のある社会が成立しないよ・・・というのは、大学生になったころに、なんとなく理解するようになったケド・・・。
 
 
 ・・・落語って、
 
 難しく考えてる人もいるみたいだけど、
 ほんとうに最初の根本は、「しゃれ(だじゃれとか)」があって、
 尾ひれはひれをつけて物語(ストーリー)にして、
 
   最後に「落とす」。
 
 まことにもって単純なんだけど、
 物語(ストーリー)の演出が、演者の力量の判断基準になって、
 文化的になったというのか、
 ちょっと、めんどくさくなった。
 
 
 それを一切無視するかのように、
 落語の命である「落ち」を連発させて寄席を爆笑の渦にしたのが、林家三平 大師匠。
 
 
 大相撲中継をみてると土俵近くの席にピンクの「林家ペーパー師匠」が映るときがあるし、HKT48の劇場公演でも「ペーパー師匠」の名前が登場します(指原師匠の考案)。何かと目立つペーパー師匠は、三平師匠のお弟子さん。
 
 
 三平師匠は、本格的なネタをやることが少なかったので、半可通には軽く見られるんですけど、寄席の観客を沸かす・・・という点では、古今東西最高傑作でした。わては、当研究所の初代と一緒に、新宿末廣亭で三平師匠の落語を聞いたことがあるん(←ヨロコビ)。爆笑に次ぐ爆笑で、寄席がわーわー沸きに沸いて、ものすごかった・・・。
 
 
 三平師匠が逝き、古今亭志ん朝師匠が逝き、
 そして先日、桂米朝師匠が鬼籍に入られた。
 「鬼籍」は閻魔大王の手元にある閻魔帳のことだそうで・・・。
 
 
 わては子供のころ、米朝師匠の落語が苦手だった。
 お顔が、きりっとして、難しそうに思えたからだと思う。
 
 でも・・・
 あるとき、米朝師匠が若いときに収録した落語「地獄八景亡者戯(じごくはっけいもうじゃのたわむれ)」 っちゅうのを聴いたら、
 
 これがもう、びっくりするくらいにスゴくって、
 
 
 それまで「枝雀の『地獄八景』はスゴいよね」なんて云ってたんだけど、
 スピード、明確さ、展開のおもしろさ、ばかばかしさ、
 すべてに100点満点で、ありゃりゃ〜っと、ぶっ飛んだ!
 
 
 ああ・・・・そうか、
 だから、お弟子の「枝雀師匠」「吉朝師匠」、孫弟子の「南光師匠」など、
 なんとも云えない、スピード感、明瞭感、ばかばかしさ感があるのね。
 
 ・・・ざこば師匠も忘れてはいけません!!
 大阪に宿泊するときは「ざこば師匠」のわちゃわちゃ落語を味わいます。
 
 
 いや〜  ・・・おそろしい・・・・
 ・・・まさか?・・・と思ってネットで検索したら、
 米朝師匠の落語動画って、どっさり出てくる。
 
 
 それみてて思ったんだけど、
 
 
 「らくだ」という演目があって、
 これは「古今亭志ん生師匠」のが最高だと信じてたところ、
 あるとき米朝師匠のを聴いて、
 ・・・・わわわ、こっちも凄みがあるなぁ・・・・と思って感動したことがあるん・・。
 
 
 なんやかや、
 偉大なる落語家、
 米朝師匠の訃報・・・わてなりに、あれこれでした。
                        さようなら。
 
 
 
 
すわみ亭の目次へ戻る
フロントページへ戻る