川の流れ
 
 
 
 わてが神社好きっていうのは、以前も書いたけど、
 
 由緒のある古い神社は、
 広々とした空間と樹木の自然が残されていて、
 本殿とか拝殿とかもシンプルで、
 すがすがしい気持ちになるからなんだの。
 
 
 んで、京都に、下鴨神社(正式名称は賀茂御祖神社)ってのがあって、
 ここなんかも、きわめつけで古い。
 
 平安京が出来る前からあるといわれるので、起源は、わかりません。
 ここは京都の繁華街からも近いし、みたらし団子が美味しいね。
 
 
 下鴨神社の境内に池があって、
 そこからプクプク出る泡をモチーフにしたのが、みたらし団子である・・・と、なんか、そんなことがお団子屋さんの説明書きにあったような・・・。
 
 らく〜んさんは、ここの下鴨のみたらしが好きで、粒のおおきさや味や歯ごたえや、なんとも云えぬ京都の食文化の実力に感心しています。
 
 
 下鴨神社は、二つの川(加茂川と高野川)が合流して一本の鴨川となる、川の合流地点に位置してるんだけど、
 
 この下鴨神社に縁(ゆかり)のある人物として、鴨長明(かものちょうめい)さんがいらっしゃいます。高校の古文とかで習った「方丈記」の作者。
 
 
 「行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し・・・」とかいうやつ。
 
 仏教の無常観、日本人の美意識の根本、
 とか、いろいろ、解説文書には書いてあるけんど・・・
 
 ま、川に近い場所に育ったので、素直に無常観をあらわして「行く川のながれは絶えずして、しかももとの水にあらず・・」と書き出したんだろうな・・と思います。
 
 
 無常観というのは、ま、英語でいうと、
  「a view of life as something transient and empty
 と云うそうなんだけど(ネット辞書調べ・・)
 「人生を、うつろったり空虚とみる、そんな人生観」
 というような意味だべかのお・・?
 
 これ、仏教哲学と云われるけんども、ま、インド哲学のある種の考え方で、でも、
 
 テレビとかの街頭インタビューで、
質問 「あなたは人生を無常だと思いますか?」
おら 「・・・へ・・・?」
質問 「では、あなたは人生には意味があると思いますか?」
おら 「・・そりゃ・・あるべな・・・」
質問 「あなたにとって、それは、どんな意味なんでしょう」
おら 「・・・なんで、オメ様に答えなきゃなんないんだ!」
 っちゅううううような、
 
 
 そもそも、インドの聖典が云う「無常」「無常観」を、
 「ああ無情・・」とか「無情の雨」とか、
 それと取り違える・・・ってのは、やめよう。
 
 あのな・・・「常」と「情」は違うだよ!!
 混同してる時点で、アウト!! なんだけど、
 
 真剣に語ると、終わらないので、やめる。
 
   そんで、
 
 
 わては一時期、京都にドハマリした時期があって、
 何回かに分けて、半年のうちに合計30日以上、集中的に京都を学ぶために歩きまわったことがあるん。
 
 そのときは、もちろん、二つの川(加茂川と高野川)の合流地点にある置き石の上も歩いてみた。ゴールデンウィークで、ぽかぽかしてて、快晴で、気分もよろしい。鴨川からみる京都は、上流側に緑が深くなった比叡山がみえて、とっても綺麗で、しーんと静かで(いや、あの、川の流れる水音はあるけど)、のんびりした。
 
 
 現代でも、「川」を題材とする歌とかいっぱいあるだよ。
 思いつくので、有名なのでは「神田川」「川の流れのように」「河よ」「RIVER」とか。
 
 
 このうち、美空ひばりさんの「川の流れのように」は、
 川の流れに人生観を重ね合わせたような内容なので、
 方丈記のフィーリングに、なんとなく近いテイストがあるん。
 
 
 でも、驚いたことに、「川の流れのように」の「川」って、
 
 作詞した秋元康先生が、イメージしたのは、実はこれ(写真1)
 
 ニューヨークのイーストリバーです。
 テレビ番組でもおっしゃってるし、「川の流れのように ニューヨーク」で検索しても、どさっとヒットします。摩天楼が林立するマンハッタン島も、下鴨神社と同じで、二つの川に挟まれてるのね。
 
 
 いや、ま、もちろん、イーストリバーだけをイメージしたわけじゃなくって、人生を通して日本の川やいろんな川をみて、ご自身で積み重ねた経験のなかで、たまたま、歌詞を作る段階で、イーストリバーが身近にあったので、スラスラっと淀みなく書いた・・のだと思います。
 
 
 ニューヨークっていうのは、普通の日本人には、こんな具合(写真2)にゴチャゴチャしたところで・・・高層ビルがあって、犯罪も多いし、競争社会で、住みにくそう・・・と思われてるかもしれませんが。
 
 実際には、道は広いし、のんびりして歩きやすいし、日本のように身勝手な自転車が歩道をコッチに向かって走ってくることもないし、公園も広くて木々の緑も多いし、安くて美味しい飲食店もいっぱいあるし、JAZZもミュージカルも最高水準でドカっとあるし、なによりも自由な空気に満ちているので、街を歩いてる人々を見てるだけでも楽しい。
 
 
 イーストリバーも、川べりに行ってみれば、
 こんな具合(写真3)(写真4)で、
 平和というか、のどかというか、
 本当に、広々とした空間で、ピースフルで、
 
 京都の鴨川とは情緒のモードが違うけど、
 たしかに、現代版の方丈記「川の流れのように」なのです。
 
 写真4には国連ビルがみえますよ。写真4に見える建設中の高層ビルには、このあと、有名な日本人メジャーリーガーが住んだと聞いています。国連ビルの近辺は治安がめちゃくちゃいいし、居酒屋さんとか、日本の駐在員が集まる店も多いので、住みやすいのだろうな・・・と思いました。  ばいばい。
 
 
 
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