床屋さん
 
 
 
 おらは、むかしっから、普通の髪型だす。
 
 何がフツ〜なんだ? と詰問されると困るけど、
 いわゆる、ふつうの髪型でありますよ。
 
 
 それを、ちょっと変えたのが大学生の時。
 あ、これはだね、
 自分の意思ではないのだす・・・。
 
 あるとき、マイ母が、
 自分が利用してる美容院に、あんたも行って「パーマをかけて来い」みたいなことになって、
 
 
 そんで、いわれるがまま、
 その美容院に行って、パーマかけてもらった。
 美容院のおねえちゃんたちは、珍しいお客さん(男子)が来たもんだから、
 な〜んか喜んでくれて、
 やたらと身体を密着させてきて、ペタペタされましたが・・・
 
 
 そのあとは、
 マイ母が勝手に予想したとおり、
 女子にはモテたようで、
 ・・・ああそうですか・・みたいになった。
 
 
 でも、おらのまわりには、女子にガッツリ人気のある、
 ・・ま、そうだの・・・芸能人になっても、ゼッテ人気出る!!
 っちゅうような美形の友達がたくさんいたので、
 おら自身は、そんなに、なんちゅうこともなかった。
 
 いや、美形の友達のことで云えば、
 それはそれは、女子の表現は、すごかっただす・・・。
 
 ある女子 「北○君は、綺麗だからガラスケースに入れておきたいな」
 なんて、云うので、
 「ん・・? あれ・・おめ、北○としゃべったことあるの・・?」
 「・・ないけど・・」
 「・・あいつキミのこと、カワイイって云ってたぜ」
 「・・・・・うそそそそそそそそ〜〜〜っ!!!!!!」
 
 なんて、そんな具合に、普通の女子が喜ぶ美形男子の友人がけっこういたけど、
 でも・・女子の基準は厳しく、
 300人の男子の中で、きゃーきゃー騒がれるのは、5人ほどでした。
 
 美形男子の筆頭である「北○くん」は、
 ほんとうに少女マンガの主人公のような容姿で、
 父親は、たいへんなお金持ちであり、
 かれ個人の性格は、すなおで、たいへん良く、
 
 
 そうそう、あのさ、
 むずかしい耳の病気になって、都内の大学病院に入院した女の子のお見舞いに、
 おらが、たまたま、「北○くん」と一緒に行ったらね、
 その女の子は、とっても視力が悪いんだけど、ベッドの上に起き上がってくれて、そんで、はじめて見た「北○くん」の容姿の美しさにはぼんやりと気づいたらしく、・・・・そのときは云わなかったけど、
 
 一週間後におらが一人でお見舞いに行ったら、
 「・・・あの・・このまえ一緒に来てくれた北○君って・・・、」
 というから、
 「・・・ちゃんと見えたの・・?」って聞いたら、
 「・・・なんか、ものすごい・・・」
 「・・・ものすごい、なんじゃ?」
 「・・なんか、信じられないくらの美男子・・・」
 
 っちゅうよな、評判だった。
 
 
 んで、背が高く、がっしりしたタイプのバレー部の「松○くん」は、
 いつもボーズだったけど、子供みたいな優しい笑顔が女子に大人気。
 サッカー部の「斎○くん」は、
 眉毛くっきりの肌きれいな顔立ちで、清潔感に満ちたスポーツマン。こいつの人気もすごかった。
 
 女子の好みって不思議で、
 ガッチリタイプがすきなひと、背が高い人がすきなひと、美形がすきなひと、あたまがいいひとが好きなひと、気持ちがやさしいひとが好きなひと、ぼんやりしたひとが好きなひと・・
 
 結局、男子にしてみれば、わからん・・・・
 みたいなさ・・・
 
 それが、青春だんな・・・!!
 
 
 そうやって年月が流れ・・・
 同窓会をやると、男子は、
 げ〜は、の比率が、もんのすごく高くなってるけんど・・・
 
 
 おらは、不思議なことに、髪の毛だけは、ある。
 
 
 ところが、髪型が「普通」なので、
   なんか、とっても、
 「ヅラ」っぽいのだな・・・・。
 らく〜んさんは、いつも「かつら疑惑」と表現して、わらう。
 らく 「・・だって、だれがどうみても、カツラにしかみえないって!」
 っちゅうようなカンジだの・・・。
 
 なんかいっぱい書いてるからわかんなくなってきたけど、
 あるとき、床屋にいったらね、ベテラン級の店主がさ・・
 店主 「・・あ、こちらへどうぞ・・・」
 みたいか感じで、特別な別室に通してくれて、そんで、いざっちゅう段になって、
 店主 「あ・・お客さん、地毛なんですね・・・」
 
 これは・・・よ、おめ、てめ・・・
 おれが「カツラ」だと思って別室に通したな・・お・・・?
 
 ほいでもって、これを、らく〜んに云ったら、
 らく「さっすが、プロも認めるカツラ疑惑!!」
 と爆笑しやがった。
 
 いや、おらだって、いつア○ランスのお世話になるかわからんから、
 笑ってられないけど、
 長年の知り合いにまで「もしや・・」と「疑惑」をもたれていて、
 宴会の途中で、あたまのなかに手を突っ込まれるのは、ほんとに、ヤだ。
 びっくりするって!!
 ふざけんなって!!  ばいばい
 
 
 
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