なんかへんだ
 
 
 
 子供のときから大人になるまで、
 
 あるいは、大人になってからじじばばになるまで、
 
 なんかへんだ・・・と思うことはいっぱいあります。
 
 
 高熱の風邪で寝込んでるときは「・・・この世が終わるかも」みたいな奇妙な気持ちになるし(←おわんないって)、
 二日酔いのときは後悔のあまり「もう絶対、死ぬまで酒はのまない!!」と誓うこともあるし(←守れないって)、
 ものすごく空腹で、あれも食べたい、これも食べたい・・と思って、思いっきり食料品を買って、そんで、いざ食べ始めたら、すぐに満腹になって余しちゃったとか、
 
 おらは子供のころ、お風呂あがりで着替えるとき、服やシャツのソデに腕が通らなくて、「なんかへんだ!」とジタバタすることがよくあった。
 
 
 なんかへんだ・・・と思うことはいっぱいあります。
 
 
 こんなん、だれだって同じだと思うぞ。例えばさ・・・、
 
 
 知り合いの写真屋のおばちゃんは、そそっかしいので、
 ときどき、左右で違う靴を履いたまま真面目な顔で電車に乗ってることもあるというし(←家に帰るまで気づかない)、
 このおばちゃん、請求書はいつも(間違って)少なく請求してくるので、「あ、また今回も少なすぎますよ・・・」とこっちから連絡してあげなきゃならなかったり。
 
 
 おらだって、冬が終わって温かくなり始めた春先に、
 絶対に絶対に、どうしても風邪をひきたくない事情があって、
 そのときは外出するときに、必ず厚手のオーバーを着て、マスクをして、
 そんな格好で、ぽかぽか陽気の街をあるいてたら、
 すれ違った女子高生二人に思いっきり笑われたことがあるな。
 きみたち・・そこまで露骨に笑わなくても・・・って・・・でも、
 
 たぶん彼女たちから見れば間違いなく「へんなおじさん」なんだろうなあ・・・と思っただよ。確かにおかしいよね、暖かいぽかぽかの小春日和に厚手のコートとマスクって・・・。でも、こっちにはこっちの、切羽詰まった事情があんだけどもさあ・・。
 
 いや・・・女子高生に笑われるなんて、けっこうある。
 仕事の帰りに疲れて書店に入り、ちょっと、しゃがむような格好で本をみてたら、女の子が友達を呼んきて二人で「あれあれ・・・」って指さしてきゃーきゃー笑われたこともある。・・・ む〜ん、たいへん失礼な態度だと思うが、ま、女子高生レベルには笑われても仕方ないか・・・と諦めた。
 
 
 インドに行くと、朝から晩まで「なんかへんだ・・」と思うことばっかりで、それが楽しいっちゃ楽しいんだけど・・・
 
 例えば、鉄道でいえば、ま、ローカル列車に乗るとします。
 そうすると、列車の中に、「もの売りさん」がつぎつぎと登場します。
 
 日本やヨーロッパでも「ワゴンサービス」みたいのはあるけど、
 そうじゃなくって、みんな個人営業で、・・そう、
 あのですね、ソックスだけ売りに来るひと(両腕にがっつり大量のソックスをもってます)、洗濯用のハンガーだけ売りに来る人(両腕にがっつりハンガーもってます)、みかんだけ売りに来る人、ノンアルコールのカクテルを売りに来る人、歯ブラシを売りに来る人、洗剤・石鹸を売りに来る人、
 
 しかもね、みんな、黙って静かに「いかがですか」みたいな感じじゃなくって、にこにこしながら「・・みなさん・・これは大変によい商品なんです」ということを、はっきりと言葉でアピールしながらやって来ます。
 
 矢継ぎ早に、つぎつぎとやって来るので、最初は面白いけど、そのうちめんどくさくなる。それでもさ、冷静に周囲をみてると、けっこう売れるんです。ソックスも歯ブラシも、インドの町中でも売ってるけど、列車に乗ってて「あ、ここで買っとけば便利」みたいな雰囲気になるのか、みかんだって、ハンガーだって、売れるんです。美人の姉さんがみかん買って、食べた皮を窓の外に「ぷっ」っと吐き捨てる様は、実にワイルド。不良系ファッションの兄さんが、アメ玉を何回も買って、その都度ポケットに大事そうにしまい込む姿は、じつに親孝行的。きっとお母さんや兄弟にあげるんだろうな・・と、そう思える雰囲気。
 
 一番おどろいたのは、万年筆売りのお兄さんが来たとき。
 日本の駅弁売りのひとみたいに、万年筆を並べたトレーをもってさ、
 そんで、一本の値段が高額なので、延々と演説するの。
 迫真の、熱のこもった必死のスピーチするんです。
 
 「みなさんは、こういうことで困ったことはありませんか? そういうとき、この万年筆を使いますと、ほら、このように・・・」 というオーバーアクションの説明を目の前で3分くらいやられた。あまりの熱心さに、感動で、しびれました。
 
 ・・んで、そのあと、伝統的な宗教音楽を歌う数人の男性グループがやってきて、バクシーシ的なことになると、もう、なんか・・・、いや楽しいです。わて、列車の中で歌うバクシーシ的なグループにはちゃんとつきあいます。これ、インドでは伝統的な習慣らしいので、僅かながらの喜捨もします。
 
 
 ちょとへんだな・・と思うことは日常生活のなかにいっぱいあるけど、
 こっちが誤解してることもあるので、
 腹立たしいことや、迷惑なことも、
 なるべくははははっと笑って、すぐに忘れるようにしてます。
 はらを立てると瞑想にもけっこう影響するからね。
 みなさんも、日常の中での不可解を、笑って受け流せるようになれば、
 少しずつ、瞑想も上達すると思いますよ。 がんばろう!
 
 
 
 
 
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