怖ぁ〜いよる
 
 
 
 鉄道や路線バスに乗るのが好きで、
 
 行ったこともない、あこがれの土地を楽しむ・・・
 
 なあ〜んてことを続けていると、
 
  ときには、旅先の宿で、
 
 ・・・なんか怖いんですけど・・・・
 
 っちゅうようなことがあるんだす。
 
 
 で、今回は、怖いよるの、おら的ランキングでもやってみっかの・・・・
 
 上位三つってことで・・
 
 まず、第三位は・・・・じゃじゃん。
 東北岩手の海岸町にある旅館。
 ホテルっていう名前にはなってっけど、歴史のある旅館だすな。
 
 古い旅館って、一人旅の旅行者を断ることがあるけど、
 そこも「・・・あ、おひとり様ですか・・・」
 みたいな感じでしぶるところを、
 なんとか、無理に泊めてもらった。
 
 ねだんは高いのに、
 部屋は狭くて、なんともくたびれた感じで、
 ま、それは文句云わんけど、
 ベッドの上でメシを食うしかない・・・
 ってな感じでさ、
 
 いつもの通り、テレビ見ながらお酒をのんで、
 さて、眠ろうかな・・・・
 と思ったあたりから、あんた、
 ずわわわわ〜っと、
 言葉にできないような恐怖がこみあげてきた。
 
 この部屋で自殺した者がいるよ・・・・
 
 っちゅう、そういうたぐいの、直感みたいなのがおそってきて、
 ・・・あ、これはまずいの〜〜・・・
 っと思ってからは、眠れない。
 部屋を出て、館内をうろうろして、ロビーでテレビみたりして、
 1時間くらい時間を経過させて部屋に戻ったら、
 もう大丈夫になってた・・・のでした。
 なんだったんだ!! と思いながら就寝。
 でも、いままでの経験で恐怖感は一番強かったので今でもぞっとする。
 
 
 第二位は、下関の古いホテル。
 関門海峡をみおろす高台にあって、
 まことに風景はよろしくって、
 おらの大好きな風景なんだけど、
 
 そのホテルも古くって、
 しかも、眼下は、あの、源平合戦の壇ノ浦だす。
 
 深夜になるまでは、壇ノ浦をながめて、
 狭い海峡を頻繁に通過してゆくいろんな船をみながら、
 あれこれ、むかしの歴史なんかを妄想して楽しむんだけども、
 
 部屋が古くて殺風景なんで・・・
 じわじわっと・・・
 深夜になるにしたがって、
 「耳なし芳一」の物語が・・・思い出されたんだす。
 
 「耳なし芳一」は、小泉八雲さん(ラフカディオ・ハーン)さんの作品ですけんど、物語の舞台は、この壇ノ浦。
 
 そんとき泊まってたホテルから、ちょっと歩いたところに、
 赤間神社ってのがあって、
 そこが琵琶法師の芳一が居住していたとされる場所。
 
 よせばいいのに、
 旅行前に、朗読CDで「耳なし芳一」を聴いてたから、
 よけいに怖かったんだの。
 朗読CDって、読む人がうますぎっから、ほんとうに怖くなる。
 
 
 ほんで、第一位は、
 奥出雲にある、簡易の宿泊施設。
 
 日本映画のファンなら「砂の器」みたことありましょ?
 松本清張先生原作の、あの名作。
 舞台は、東北、東京、北陸、出雲・・と移って、
 
 で、最も印象に残る、出雲の「亀高」を目指して、
 東京から夜行寝台列車に乗って、
 なあ〜んにも考えずにぼさ〜っとね、おらたちは出発した。
 
 映画の中の丹波哲郎さんと同じように、
 島根県の宍道(しんじ)で乗り換えて、「亀高」のある奥出雲へ・・・・
 
 奥出雲の観光は楽しかったんだけど、
 そのとき泊まった簡易宿泊施設がね・・・
 出雲地方の、表現しがたい特殊な霊気に満ちた宿で、
 
 ラクーンさんが、
 眠れなくなって、明け方までテレビみるはめに・・・
 
 別々の部屋に泊まってんだけど、
 おらだって、なんとなく妙な霊気を感じたから、
 かなり遅くまでテレビみながらおきていた。
 
 明け方、ふと目をさますと、
 宿の向かいがわの神社で、白装束の神主さんが、
 朝靄のたちこめる風景のなかで、祝詞を奏上されておった。
 出雲地方なので、
   「かけまくもかしこき・・・・」
     で始まって、
   「かしこみかしこみもまをす・・・・」
     で終わるの・・・(かなあ)・・・
 
 神主さんの声を、ぼんやり聞いてましたけど、
 ほんとに、出雲は独特の世界・・・と感じる瞬間でした。
 映画のなかのワンシーンのような光景。
 
 ラクーンさんは子供のころ、
 出雲地方の神社の稚児さんやってて、
    「・・・かしこみかしこみもまをすぅ・・」
 の練習で小学校を遅刻することがよくあったそーだ・・・
おら「・・・あんた、それ、ただの寝坊だべ」
ラク「いやいや、みんなが、神社の練習だったの?・・・って」
おら「・・ずるいべよ・・」
ラク「お母さんも先生に『お稚児さんの練習で・・』って」
おら「・・のんびりした学校だの・・・」
ラク「・・・<汗・・>なははははは・・・」
 
 
 ついでなんで、番外編。
 
 ここは泊まってないけど、
 「座敷わらし」で有名な、岩手県の金田一温泉の宿。
 
 南部曲りという独特の建築様式で、母屋は築300年。
 2〜3年先まで予約いっぱいなので、
 「ちょっと今日一泊できますか?」
 なあ〜んて電話で脳天気に予約とろうとしても、無理だす。
 
 でも、昼間は、日帰り入浴が出来るってんで、
 行ってみました。
 
 そりゃ築300年なんで、歩くと廊下もみしみしします。
 日帰り入浴客は、座敷わらしが出るっていう部屋を見学できます。
 あ、ただね、年がら年中、宿泊客が絶えないので、その部屋にお客さんが居るときはみれなかったはずで、隣の部屋でなんとなく雰囲気を味わうような。
 
 いろんな不思議なことが起きる・・っていうんで、
 各界の著名人−−経済界の重鎮、作家、芸能人等々−−−が訪れていて、
 廊下にはたくさんの写真がびっしりと飾ってありました。
 お風呂は古いですけど、いくつかの浴槽があったような・・。
 
 で、これは聞いたはなしなんですけどね、
 ある宿泊客(女性)が、深夜にお風呂に入りに行ったんです。
 薄暗くて長い廊下を、ぎしっ、ぎしっ、と歩いているうちに、
 ちょっと怖いなあ・・とはおもったけど、
 夜中の温泉って、人がすくなくて気持ちがいいんじゃないかな・・
 
 期待通り、真夜中すぎてたので、風呂場にはひとりっきで、
 し〜〜〜ん・・・として、
 ・・・あれ、わたし少しこわいかも・・・・
 と思い始めたとき、
 いきなり背後で「バン」と乾いた音!!
 おねえさん、ぎゅゃあああああ〜っと悲鳴をあげて、
 湯舟の中で、身をかがめたそうです。
 
  ・・んで、ふりかえってみると
 せっけん箱が床におちてた・・・・・おそまつ。
 
 この宿、数年前に焼失し、再建を望む声多数・・とか。
 下関のホテルも数年前に閉じたそうです。
 
 
 
 
 
 
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