道を渡らないでね
 
 
 
 
 
 ある日、おらは、
 なんの目的もなく、
 
 ぼさ〜っとニューヨークの街を歩いてた・・
 
 
 最初のころは、
 今日はあそこに行ってみよう、
 明日はあそこに行ってみよう・・・的な、
 明確な目的意識をもって行動してたけど、
 
 
 何度目かの滞在になると、
 観光的な場所はネタが尽きてですね、
 ぼさ〜っと、
 「なんかないかな・・・」的な、
 せっかく来たから「なんか見よう」的なですね・・・
 
 あさましい(もとをとらねば的な)観光、
 お偉い学者風に、ちょっと気取って難しく表現すればデスね、
 
 ・・・無目的的散歩行為、
 これが始まるわけです。
 徘徊老人と同じだべ・・・とツッコまれたら、
 その通りなんだすな。
 
 
 なんのことはない、
 せっかく高いお金払って旅行してんだから、
 なんか見ないとソンするべ・・・っちゅうことなんですよ。
 
 
 でね、
 ある日、おらは、
 とっても怪しい地区にある、
 無国籍エリアの、
 独特の(なんか)楽しい場所・・・・
 
 みたいな場所がある・・・と聞いたことがあるので、
 その、うすぼんやりした記憶をたよりにですね、
 無国籍の楽しい場所に向かって歩いて行った・・・・
 
 
 博多の中州をデッカくしたようなマンハッタンは、
 川にはさまれた島なんだけど、
 南北にはかなり長いので、
 北と南で、住んでる人の種類がかなり違うのね。
 
 んで、
 その日、おらが目指してたのは、
 なんとなくクリスタル的な・・・
 無国籍の・・・・
 
 っちゅてもさ、住民は、みんな母国があって、
 決して無国籍ではないけんども、
 日本人もいるし、キューバ人もいるし、芸術家もいるし、怪しいひともいるし・・・・的な、
 
 
 そういう場所でした。
 具体的にはデスね、
 このおおざっぱな(地図)(←クリック)で、
 C(エンパイアステートビル)の右下の地区、
 
 いわゆるイースト・ヴィレッジと呼ばれてるトコ。
 
 普通の観光客にはなじみがないかもしれませんけど、
 ニューヨークに住んでました・・・という日本人は、
 けっこう、この場所に集まってます。
 いい思い出もあり、苦い思い出もあり・・・
 
 
 おらはですね、その日、
 ひとつの公園を目指して歩いてた。
 無目的とは云ってもですね、
 散歩の途中で目的が発生することもあって、
 要するに、・・・あ、あそこ行ってないから行ってみよう的な。
 
 ここまではヨカッタ。
 
 目的の公園が、近づいてきたたときですね、
 道ばたで待機してた「警察官風コスチューム」の女性が、
 ぱぱっと近寄ってきて、
 
 「sodoro**talsotpslpde aksoso sokavzmt」(←聞き取れない)
 
と、おだやかな声で云ってきた。
 
おら 「・・・へ?」
女性 「oops deudt dododoqw プリーズ」
 
 プリーズだけわかったけど、全体として「・・・?」
 
 
 でも、これは奇妙だすな・・・
 0.5〜1秒ほどすると、
 彼女が発した英語の意味がジワジワっとほどけて、
 
 「公園に行くそこの道を渡らないでください」
と云ってることが、ま、わかった。
 
 でも、
 なんで・・・?
 そのあたり、
 彼女の英語スピードが速すぎてわからなかったけんども・・・
 
 道を渡らないでねといわれた、
 その公園の道の手前まで来てみれば、
 公園には不自然な照明設備があり、怪しいオッサンがタムロしており、
 どうみても映画の撮影中であることは、わかるわ((写真1))(←クリック)。
 
 
 「道を渡らないでね」・・・と云った姉さんが本物の警察官なのか、
 警察官のコスチュームを着たスタッフさんなのかはわかんないけど、
 アメリカは映画の撮影に警察や自治体も全面協力すると聞いているので、
 はっきりしたことは、わかりません。
 
 
 姉さんの英語「・・・道を渡らないでね」は、
 英語では「not try across the street」だった(と思う)。
 
 
 ちなみに、このとき撮影していた映画は、
 現場と撮影規模から「ダイハード3」。
 3ガロンとか5ガロンとかの計算シーン。
 
 ま、ニューヨークやロサンゼルスでは日常的に映画を作ってるので、
 どれがどれなのかの特定は難しいけど、
 時期的にぴったりのタイミングだったので、
 ・・・だろうな、と思ってます。  さいなら。
 
 
 
 
 
 
 
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