ベナレス その壱
そりゃまあ、ヨガ、瞑想、
そっち系に興味があるモンとしては、
いつかはインドに行ってみたい・・・・
という、うすぼんやりした希望はあった。
でも、やっぱりね、行くにはちょっとした勇気が必要で、
おらだって、最初から気軽な気持ちで行ったわけじゃねえのだ。
記録はちゃんと残してあるけんども、いちいちそんのもの読み直してまで「すわみ亭」を書くわけじゃないから、
ま、思い出せる範囲で書いてみっか・・・
もともと記憶力のなさには定評があるおらのことなんで、ま、記憶違いもあるかもしんないけど、「噺」っちゅうことで。
インドに行ってみっか・・・と思ったときのスケジュールの柱は、
@ インドに行ってみる
A ベナレスに行ってみる 以上!
であった。
もう、ほんとに大ざっぱな計画!
でもでも、これくらい大ざっぱな計画にしとかないと、
あれもみたい、これもみたい、なんて細かく計画したって、どうせダメだろうとおもったんで、
思い切って、「行ってみる」、という目的だけに絞った。
それくらい、旅行者には厳しい土地だろうな・・・って思ってさ。
「行ってみる」っつう目的を達成したら、まずは、満足しよう・・・くらいの気持ち。そんで、安全第一。
あのさ〜、インド行ったことあるひとなら判ると思うけんど、
あっこの国は、そりゃま、経済が発展してる偉大な国ではあっけども、
いろんな点で、日本とはまるきり違うから、
日本的な常識で旅行しよーたって、そうはいかないもの!
ガイドブックをみますとね、
こーしたらダメ、あーしたらダメ、こーゆー場合は要注意・・・
てなことが、がんがん書いてあって、
インド初心者のおらとしては、・・・・どうすっぺ・・・?
っちゅうような心境で、不安なまま、成田から旅立ったのでありますよ。
まずね、飛行機に搭乗して、さてさてと自分の席を探したら、
おらの席(窓際)には、すでにインド人の青年が座っていた。
おら「すんまへん・・そこ、おらの席だ〜よ。」
青年「・・(隣の席をぽんぽんして)ここ空いてるよ。(←お、よ、そこテメーの席じゃね〜か)」
おら「ここはオメさんの席だろ。おらの席はそこだから、チェンジ」
青年「窓席は眩しいぜ」
おら「眩しいのは大好きだ! とにかく、そこはおらがすわる席!!」
あんね、インドに慣れてくるに従ってわかってきたけど、こんなの、印度に行ったら日常茶飯。もっとむちゃくちゃなケースいっぱいある。
てなわけで、飛行機は瀬戸内海、博多、五島の上空を通って、夕方、ニューデリー空港に着いた。インド上空に近づくと、世界第三位の高峰カンチェンジュンガとヒマラヤが、遠くに連なって、とっても綺麗。
いちいちどうでもいーけど、このニューデリー空港からホテルに行く間が、これまた一苦労で、そういう話は、インド旅行記として出版されている、たくさんたくさんたくさんの本に、あれこれ書いてありますよ。たしかに、みなさんがおっしゃる通り、空港→ホテルが、印度個人旅行の最初の難関。
そりゃもー、すったもんだ、します。
まず、料金前払い式のタクシーに乗るんだけど、
その、カウンターのまわりに、十分に「あやしい」人々がたむろしとる。
執拗な勧誘がつぎつぎとおそってくる。
そのすべての勧誘を振り払う手間で体力を消耗して、へとへとになる。
次に、カウンターで、行き先と名前を告げ、料金を払う。
このときも、日本人の名前なんて聞き取れないらしく、何度も聞き返してきて最後は、てきとうな名前を書き始めるし、まわりのギャラリーが笑うので、最初はホントに疲れる。慣れれば、なんということはないんだけんどもさ。
空港からホテルのある中心部への道は、暗いし、十分に危険を感じるんだけど、そのために、空港のタクシーカウンターで自分の名前を申告して、いろんな意味の「事故」がないようにしてあるんですね。でも、このタクシー内でも、必ずひと悶着があるはず。敵は百戦錬磨、こっちはズブの素人。すぐダマされるけど、それは、ガイドブックを参照して、対処してください。
タクシーが走る道には、牛もうろうろしているし、荷物を運ぶ大きなゾウさんも歩いてる。なんか、インドなんですわ。裸電球が光る屋台がずらっと並んだりして旅情たっぷり。
ほんで、おらは、ニューデリーのホテルに数日泊まって、呼吸を整えてから、よし行くぞ!! っと、聖地ベナレスに向かった。
・・・・あこがれのベナレス。
デリー空港から飛行機で1時間ちょっと。
でも、多くのインド人にとっては、古代から現代まで、あこがれの土地であっても簡単には行けない土地。
その場所に、現代の日本人や西洋人は飛行機でびゅーんと行ってしまう。
・・・ベナレスは、
奇跡の町。
仏陀先生が最初の説法を行ったサルナートは、ベナレスの郊外で、
仏陀先生の時代から、すでにベナレスは聖者と修行者が集まる聖地だった。
少なくとも3000年くらいの歴史が続く、長い歴史をもった聖地。
長くなるから、今日はこのへんでやめとくけど、
実は、日本人も、多くのひとがベナレスを訪れてる。
有名人の名前を挙げれば、きりがないだよ。
偉大な作家、遠藤周作先生も「深い河」の執筆のため、衰えた体力をふりしぼって頑張って訪れたし、「深い河」が映画化されたときは、俳優さんや関係者がいっぱい、ベナレスを訪れています。
一ヶ月くらいの長期滞在になったそうで、映画の撮影ってたいへん・・・。