おなじじゃないの
 
 
 
 
 
 今でこそ、
 ちょっとは違うぞな・・・と想うけど、
 
 学生時代、
 ま、どこからみても、
 箸にも棒にもかからない薄っぺらだったおらは、
 
 両親と姉様からお金をお預かりして、
 ヨーロッパ周遊にでかけただな。
 
 
 モチロン、そんな旅行で、
 人生がどうにか変わったりするわけではないけんど・・
 ぼさ〜っと何もしないより、
 何か行動したほうがいいのではなかろうか・・的な、
 
 ま、
 まことにもって、薄っぺらい、浅はかな行動に出たわけです・・・
 
 
 で、旅の途中で、
 イタリアのナポリという町に行き着いて、
 
 お金がないので、
 お願いして値切り倒した、
 まことにもって親切な家族経営ホテルで、
 翌日はポンペイに行こう・・・という計画になった。
 
 
 ん・・・? ぽんぺい → インド?・・・
 くらいの、
 薄ぼんやりした、
 もやっとした知恵しかなかったアホのおらはだね、
 
 はいはい・・行きましょ
 と(わけもわからず)相づちをうって了解したものの、
 
 ソコが、ナニで、ナンナノか・・・わかんなかったですヨ。
 
 
 で、行き方もわかんないから、あほな友人がタクシーに乗った。
 ほんとは列車で簡単に行けるのに、
 料金交渉をして、タクシーに乗って出かけたのね・・・
 
 ココだよ・・と運転手さんに教えられてタクシーを降りると、
 
 そこは、ローマ時代の広大な町の廃墟で、
 近所の火山の噴火で一瞬して埋もれた古代都市の遺跡・・・
 
 知らずに行ったけど、あ、こりゃすごいわ・・・
 くらいの感想は、もちました。
 
 
 整然と区画された大通り、
 パン屋さん、クリーニング屋さん、レストラン、オペラ劇場、
 庶民の住宅、大金持ちの邸宅、
 
 
 約2000年前、
 イエスキリスト先生がエルサレムで活躍なさっていた聖書の時代に、
 火山の噴火で一瞬に埋もれた町なので、
 
 ちょっとづつ事情がわかるにつれて、
 
 ああそうか、キリスト先生の聖書の時代の町がこれなのか・・・
 と、個人的な興味が増大していったのでアッタ。
 
 なぁ・・
 ばかはばかなりに、事情がわかれば、ちょっとは興味をもつ。
 
 
 そのとき想ったのは、
 現在の生活と変わんないな・・・っちゅうことでした。
 
 電気がないので、テレビも電話もインターネットもないけど、
 
 昼間は、
 レストランも営業してるし、郵便はあったし(遅いけど)、
 パン屋さんはあるし、公共のお風呂もあるし、劇場もあるし、
 ファッションの店、靴屋さん・・・現代と同じフィーリング。
 
 美人マドンナもいたろうし、男前スターもいたろうし・・
 
 なんだ・・・今とおなじじゃないか・・・
 そう、つよく想ったのでした。
 
 人類は進化する・・・みたいな思いこみがあるけど、
 100万年とか10万年とか、
 そういう単位じゃなくって、
 
 せいぜい、2000年くらいの短い年月単位だと、
 人間の根本的な部分は変わらないのだな・・・と、
 なんか、しみじみした。
 現代用語でいう、じわる、というやつね。
 
 
 東京の両国に「江戸東京博物館」っちゅう博物館がある。
 ここに行くと、江戸時代の民家が再現されていて、
 職人の、熊さん、八つあんの、落語的なタイムスリップ空間があります。
 そういうの、みてんとさ、
 やっぱり感想は同じで、
 いまと、たいして変わんないな・・・なんです。
 電化製品−−テレビ、冷蔵庫、PC、クーラーなど−−はないけど、
 自動車も地下鉄も飛行機もないけど、
 
 でも・・なくても生活は出来るよな・・・
 
 蒲団はあるし、
 冷蔵庫がなくても物売りが向こうからやって来てくれるし、
 テレビはないけど、いろんな娯楽は、あれこれあるし、
 PCはないけど、海外の情報なんていらないし・・・
 
 こういう江戸時代の生活は、
 実は、2000年前よりもっと前から全世界で同じようで・・
 
 
 イギリスにある「ロンドン市博物館」に、
 古代のロンドンの民家を見事に再現したフロアがあって、
 そこに再現されている、リアルな古代の民家でくつろいでみると、
 
 2000年前のロンドンを味わえる。
 
 その味わいは、江戸の民家の味わいと同じで・・・
 
 
 江戸だから、ロンドンだから・・という区別もないのです。
 結局、人間の生活って同じなんだなあ・・と。
 
 
 インドの古い町に行くと、
 現代でも、
 古代そのまんまみたいな感じで生活する僧院があるけど、
 テレビ、冷蔵庫、PCはなく、
 みんなで共同生活しながら瞑想してるはず(?)
 
 いや・・・、でも・・・
 最近は、僧院でもテレビくらいみるかしらね・・・?
 それに、インド人ってPC得意だから、僧院にもPCもあるか・・・
 
 む〜ん、
 それじゃ他の一般社会とおなじじゃね〜の。
 厳しく追及しませんケドね。
 
 
 要するに、
 電気や自動車がない時代と現代と、
 
 ぜんぜん違うよ・・という場合もあるけど、
 同じだな・・・と想う部分もあって、
 
 おら的には、
 根本的な日常生活は同じだなあ・・・と想ってます。
 瞑想は、そういう「人間の根本的な部分」に関係することなので、
 
 スマホやケータイがないと生きてゆけない・・・
 っちゅう「即時通信」「情報いのち」のひとには、向かない・・かも??
 
 株式投資や軍隊みたいに「即時通信」が生死を分ける世界もあるけど、
 
 
 瞑想は、
 「即時(効果)」を求めると、ま、ギブアップになりやすいです。
 そういうことも、じんわりと理解していただけるとありがたいです。
 
 
 
 
 
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