さ ゆ り
 
 
 
 いつも、旅のお供に「珍味」をいっぱいもってゆくんですけどね、
 
 あるとき、ふと、海外のネコも日本の「珍味」を食べるかな?
 
 と思って、でもそんな疑問はすぐ忘れるから、
 
 いつも忘れたまんまで家に戻って・・・を繰り返してた。
 
 
 ほいで、ラクーンさんと一緒にイスラエルに行く段になって、
 
 わて「あのさ、死海って、いっぱいホテルあるんだって」
 ラク「おもしろいのかな?」
 わて「滞在するだけの自然療法で元気が出てくるとか・・」
なんて会話で、なんかよく分かんないけど行ってみっか・・・っちゅうことになって、行ってみた。
 
 死海ってのは、アフリカまで延々とつながる地球の大地溝帯の端にあって、湖水はミネラル豊富で塩分濃度が高いし、海抜下400メートルに位置するから酸素濃度も高く、古代からいろんな自然療法を行う場所だった(←と、ガイドブックに書いてあった)。
 
 で、エルサレムの中心部にあるバスターミナルから荷物を持ってバスに乗り込んで、どんどこ坂道を下って死海のホテル街に着いた。エルサレムは標高800m、死海は海抜下400mなんで、死海に向かうときは坂道をずうっと下る感じ。まわりは砂漠みたいな風景。すでに、死海周辺の観光は済ませてあったのでホテル街に直行した。死海周辺はキリスト先生に縁の深い場所(誘惑の山とか)があるけど、そういう話は今回はやめときます。
 
 んで、ここらのホテルって、どれもこれも、ものすごく立派。
 ヨーロッパの何カ国かは、死海での滞在治療が必要と診断されたひとには公的な保険が適用されるので、西洋人がとっても多い。それに、まわりは砂漠でな〜んにもない(コンビニとか)から、ずうっとホテルに滞在して、ホテル内をぶらぶらして、朝、昼、晩の食事をするんだけど、食事も全部コミコミの値段になってた(←わての記憶)。
 
 近郊に小旅行をするだけで、ほかになにもすることがなく、三度三度の食事が、信じられんくらいめちゃくちゃに美味く、フルーツもどっさりで・・きっちり体重が増えていったのでした。
 
 ホテル内には、死海の水を温めたプールがあって、最初そこに入るときは、驚きで目がテンになる。階段を下りて入ってゆくんだけど、ふわふわっと体重が消えていって、全身を水に沈めようと思っても絶対に沈まない。浮いちゃう・・というより、沈まない。身振り手振りの大げさな西洋系の女性(ま、フランス人とかイタリア人)が目を見開いて、きゃわわわわ〜〜っと入ってくるときは、プールに浸かってる先輩がニヤニヤっとみてます。フィーリングの共有、「な、おもしろいよな」っていう不思議な連帯の意識。おおお〜っと互いに拍手。
 
 水が目にはいると危険なので、しずか〜に立って死海湯に浸かってるしかないんだけど、なんというのか、あっという間に時間がすぎてゆきます。
 
 そんなこんなで数日たってエルサレムに戻る日、ラクーン先生が「死海エステ」に挑戦することになった。そりゃあ、女性だったら一度は経験しておいた方がよかんべな、っちゅうことで、ラクちゃんはホテル内の死海エステに、おらは、ホテルのプールサイドでのんびりと。
 
 
 プールサイドはのんびりしてた。
           プールサイド写真(←クリック!)
 
 ほんで、おらは、久しぶりに「珍味と猫」のことを思い出した。
 
 エステサロンの方角から、一匹のネコがやってきて、じっとコッチをみてたのであ〜る。なかなか顔立ちのよい美形。おもわず「さゆり」と命名しただよ。
 
 
 
 むひょひょひょひょ・・・これはやるしかね〜べ!
 
 急いで自分の部屋に戻って、「さきいか(ソフト)」をもってきた。
 
 で、さゆりに、ちらちらみせると、なんだべの? てな感じで近寄ってきて、まずはニオイをかぎまして、・・・・? そして、パク。
 
 その瞬間、・・・・・あらららららら・・・・おいしいざます!!!!
 
 さゆりのカオは喜びに輝き、「もっと欲しいざます!」と懇願する目つきでわてに要求してくるのでありました。あまりにかわいいので、どんどこやりたいが、ネコは、さきいかをたくさん食べると腰が抜けるんですわ・・・。わては、子供のころネコを飼ってて(名前はトラ)、腰を抜かしたトラをみて、理由が分かんないので、こっちが腰を抜かしそうになったことがあるもんで、さゆりには、すこしずつ、すこしずつ、注意しながらあげました。
 
 そのたんびに、さゆりは恍惚とした表情をみせてくれるので、
 
 そうか、さゆりも、喜んでくれるのか・・・・と、感慨にふけった。
 
 
 この経験で、海外のネコも日本の「珍味」を食べる・・・と確信し(←あとで考えるとあったりまえなんだけんども)、
 
 イスラエルから日本に戻るときに数日滞在したイスタンブールでも、ネコと珍味の実験をしてみただな。
 
 イスタンブール・・・・知ってっか?
 飛んでイスタンブール・・・っちゅって、あ、それ知ってる、ってやつは、かなりのJポップ通か、ただのじじばばだ。
 
 イスタンブールは、西洋と東洋の境界にある大都会で、古くはコンスタンチノーブルと云っての・・・4世紀には巨大なキリスト教会(アヤソフィア)が建設されて今日に至る奇跡の都市。アヤソフィアのドームの天井は、東京ドームの天井よりも高い(←思い込み?)。そんなことは、どーでもエエ。
 
 問題は、イスタンブールのおネコ様。
 
 ここのネコは、みんなボスポラス海峡で釣れる魚をもらって食べてるだ〜に。
 
 観光客にはサバサンドが有名だけど、ま、魚の味にはちょっとウルサイおねこ様が、ごちゃまんといるのであります。
 
 ある朝、ホテル横でたくさんのネコが集まって会議を開いとった。8匹くらいいた。それなんで、ぽいっと、もってた「たこ燻スライス」を一匹のネコにあげたら、これがまた、さゆりと同じ、恍惚とした表情をしたのでありました。
 
 それをみた他のおねこ様も、おれにもよこせ、わしにもよこせ、わたしにもちょ−だい、となって、わさわさわさっと、集まってきた。
 
 8匹の時はよかった。まだ、ほれ、ほれ、ほれ・・と、こっちも余裕の態度であげてたんだけんど・・・・、通報を聞きつけた付近の住民ネコ様も集まってきて、どんどん増えていって、
 
 あ、これは、まずいかも・・・
 
 と思ったときは15匹くらいになってて、
 
    逃げただよ。
 
 おら、そんな大量の需要を満たすような「たこ燻スライス」はもってねえ。おそまつ。
 
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 特別公開 さ ゆ り
           さゆり様の写真(←クリック!)
 
 
 
 
 
 
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